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ラストチルドレン
第1章 拾われた体・あたしの気持ち

「瞳が可哀想。もう達巳君には近付かないで」
「達巳君は優しいから断れないだけで、迷惑してるのが分からないの?」
「彼女気取りのつもり?」
「そうだよ、あんたは邪魔なんよ」
最初に口を出した女子の後を追って四方八方から罵声を浴びせる。
達巳が迷惑してるだって?優しいから断れないだけ?
馬鹿馬鹿しい。達巳とロクに話したこともないあんたたちに達巳の気持ちは分かるわけない。
あたしは、睨みを効かせ周りをぐるっと見てやる。
群れでしか、行動出来ないあんたたちには負けない。
「言いたいことはそれだけ?」
あたしもひどく冷めた声が出た。
怒りで拳が震える。
この女子たち一人一人に平手打ちをしてやりたい衝動をグッと抑える。
「達巳と瞳の問題に口を出すなんて随分お節介やね」
「はぁ?」
「あんたたちに何を言われてもあたしは、あたしのしたいようにする。誰の指図も受けない」
「生意気なんだよ!」
正面に居る女子に前髪を掴まれた。
そのまま机に向かって急降下すれば、古くさい木の香りが鼻を貫く。
額が机に落下し、鈍い痛みが後から来る。
罵声の次は暴力か。
こんな人間と同じクラスなことに、絶望を覚えた。
「いい?二度と達巳くんに近付かないで!」
最後に捨て台詞を吐いて、女子たちは去っていった。
額に手をやれば、まだ痛みが続いていて何て最悪な日なんだろうと溜め息が溢れた。

