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ラストチルドレン
第1章 拾われた体・あたしの気持ち

「楓!大丈夫?」

「大丈夫。ちょっと痛いだけ」

遠くからあたしを見守っていてくれた摩耶が心配して近付いてきた。

あたしが手を出された瞬間、ガタッと机か椅子が動く気配があったのは、摩耶が飛び出す音だと悟っていた。

でもあたしが、離れてと言ったから黙って見ていてくれた摩耶に心の中で感謝した。

摩耶の手は怒りで震えているのか、あたしの肩に置かれた手は力が籠っていた。

「あいつら、本当最低」

「これから先もきっとこんなこと、たくさんあると思うから気にしないのが一番。あたしは、あんな奴等に何を言われても今まで通り自由にやっていくし。摩耶は手を出さんといてな?」

「分かってる。楓、無理だけはしんでや?あたしがおるんやから」

男にはだらしがない摩耶でも、こういう場面では心強いし優しいから摩耶は嫌いになれない。

あたしの一番の女友達。胸を張ってそう言える。

あたしには、摩耶が居て達巳が居る。

それだけで、あたしはここに居てもいいと思える。

どんなに周りから嫌われようとも、あたしが大事にしたいと思える人が傍に居るから、あたしは強くなれる。

幸い、このやり取りを達巳は見ていない。

瞳に連れられて昼食を食べているんだろう。

優しくて、心配症の達巳が見ていたらきっと自分を責めるに違いない。

それだけは、避けたかった。

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