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ラストチルドレン
第5章 絶望の果てに・失った光

「お前、確か幸村班やったよな」
「そうっすけどそれが?」
「他班の人間に手出したらどうなるか教えてやろうか?ここは筋の通らんことが嫌いな人間がたくさんおる。幸村もその一人や」
「……」
「お前なんて潰すのは簡単なんや。それでもまだ達巳に手出すんか?ああ?」
高峰さんは凄み、郷田の胸ぐらを掴む。
郷田は舌打ちをして振り払い、事務所を飛び出した。
二人になり、静まり返った事務所で高峰さんは煙草に火をつけ、隣に座るように促した。
「あいつが原因でクスリに手出したんか?」
「はい。自分が弱くて何も守れなくてどうしようもなくなって…」
「彼女と別れたのも?」
「それは俺がクスリに手を出してしまって罪悪感からです。守り切れなかったのも理由です」
「俺はな…どんな理由であれクスリに手出す奴は嫌いや」
高峰さんの顔を見れず俯いてしまう。
嫌われて当然だ。俺はクスリで大事なものを失っている。
「昔な知り合いにおったんや。クスリで人生狂わされた奴が。俺はその時助けることが出来んかった。もう二度とあんな思いはしたくない」
「はい…」
「頼りなかったか?俺は」
「そんなことありません!」
「だったら何で脅されてること俺に相談せんかった?そうだろ?頼りない先輩やからや」
「……違います。迷惑を掛けたくなかったから」
「その気持ちが迷惑や!俺は後輩である前に達巳って男が好きなんや。仕事は真面目にやってるし、気は合うし最高の仲間やと思ってる。だからこそ守りたいんや」
高峰さんの言葉に俺は涙が溢れた。
そんなこと言ってもらえる資格無いのに。

