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ラストチルドレン
第5章 絶望の果てに・失った光

学校が終わり、沈んだ心を抱えたまま、達巳の職場に向かった。
その日はとても強い風が吹いていて、あたしの体を冷やしていく。
足取りは重く、一歩一歩が中々進まない。
どんなにゆっくり歩いても現実は待ってくれない。
気が付けば近い距離まで来ていた。
住宅地と工場地帯が隣接するこの場所は至る所から男の人の声と金属が擦れる音など作業音が響いている。
仕事が終わってからでも良かったのに、達巳は職場を指定してきた。
不思議に思いつつもそんなことを言ってしまえばもう会わないなんて言われそうで何も言わずに了承した。
しばらく歩くと、工事をしている作業員がたくさん見えてきた。
達巳もあの人だかりの中に居るのだろうか。
少し高いビルの建設をしている人と、その下で作業をする人たち。
皆、必死になってやっていて、雰囲気は近寄りがたい。
警備員のオジサンが立って居て、あたしを怪しそうに見ていた。
女子高生が工事現場を見続けているんだから、不思議なのかもしれない。
あたしは、達巳に到着したことをメールで知らせた。
だけど、5分経っても返事は無い。
そうこうしているうちに、警備員のオジサンがこちらに近づいてきた。

