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ラストチルドレン
第5章 絶望の果てに・失った光

「お嬢ちゃん、こんなとこで何してんのや」
「あ、人を待ってて。ここで働いてるみたいで」
「そうか、誰や?呼んで来るわ」
「いえ、お仕事忙しいと思うから待ってます」
連絡もしたし、きっとまだ仕事が終わらないんだろう。
わざわざ呼んで邪魔はしたくない。
警備員のオジサンにしばらく待たせてもらうことにした。
金属の音が響く。
頭の中に重たく…耳の奥が痛い。
ソワソワする気持ちを落ち着かせて、時を待つ。
達巳はやっぱりもう違う世界の人間だ。
きちんと社会人として働いていて、学生の自分が急に幼く見える。
こないだまで、一緒に屋上でサボったり文化祭を楽しんだというのに。
早く来ないかな…場違いな自分が嫌で知った顔を見たかった。
摩耶に着いてきてもらえば良かった。
そう思った時---。
地獄の音が辺りに鳴り響く。
何か硬いものが地面に到達するような、それに重なって金属の嫌な音が反響した。
「なんや?」
警備員のオジサンも慌てて駆け寄っていく。
あたしは、何が起きたか分からずただその場に立ち尽くす。
嫌な音だった。
早く、達巳来てよ……
そんなあたしの気持ちを裏切る声が耳に届いてしまった。

