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ラストチルドレン
第5章 絶望の果てに・失った光

「達巳------!!」
「達巳が下敷きになっとる!!」
「上田もだ!!二人がおる!!」
「救急車!!誰でもいいから救急車呼んでくれ」
先ほどまで鳴り響いていた音がピタリと止み、代わりに男たちの叫び声が響く。
聞きたくないのに聞こえるその名前に、あたしは駆け出した。
達巳!……達巳!!
近づけば鉄骨がまばらに地面に落ちていて、その下に血だまりが出来ている。
少しだけ見えるどちらかの腕がまだピクリと動いている。
「達巳―ーーーーー!!」
あたしの叫びを聞いて、慌てて警備員のオジサンがあたしを止める。
「勝手に入っちゃいけん!!」
「離して!!達巳があの下におるんよ!!」
周りの作業員も鉄骨とあたしを交互に見る。
「達巳の知り合いか?」
近くに居た男性があたしに問う。
「達巳は…達巳を助けて!!」
何も答えずただ叫ぶ。それしか出来ない。
「楓ちゃん?楓ちゃんやな?」
慌てて駆け寄って来た男性があたしの名前を確認する。
「達巳を!助けて下さい!!」
その男性は、困った顔をしてあたしをオジサンから引き受け、落ち着くように肩に手を置かれた。
「達巳は助けるから!!救急車呼んだし、今あの機械で鉄骨どかすから!危ないから下がろうな?」
動けないあたしを引きずり、達巳がいる場所から遠ざかっていく。
涙が零れて視界が歪む。
どうして?どうして達己なの!!

