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ラストチルドレン
第6章 貴方の居ない世界
◇
Γなぁ、一緒に通おうって言ったじゃん」
Γ約束してないけど?」
Γ……俺の努力無駄にする気?」
シュンっとする翼くん。
どこまでもバカなんだから。
Γ翼くんとあたし、学部違うから時間が違うでしょ?」
Γそうだけどさぁ~俺が早めれば済む話だろ?」
Γそこまでして、あたしと通いたいの?」
Γ勿論!その為に頑張ったんやぞ!」
翼くんのガッツは認めるけれど、あたしは……。
Γそんなんじゃ彼女出来ないよ?」
Γ楓が彼女になればいいやん」
Γだから、それ何回目?」
Γ言ったやん。俺は諦めないって。達巳のお墓に報告したから」
達巳のお墓に……そのワードが清々しい程真っ青な朝の空には似合わない。
どんより曇った雨雲みたいにあたしの心にのし掛かる。
あたしは、まだ達巳のお墓には行っていない。
ここから、かなり離れた場所にあることは知っている。
けれど、あたしはまだ聞きたくないと翼くんには言わないでと告げていた。
Γほら、遅刻するよ?行こう!」
手を引かれ、走り出す。
電車通学のあたしに合わせて、駅前まで来ていた翼くん。
何度先に行こうとも、必ず追いかけてくる。
翼くんのそのしつこさに、あたしはどこか救われている。
フラッと電車に飛び出してしまいたい衝動は大学に通い出してから毎日訪れる。
このまま死ねたら……って。
がむしゃらに頑張ってきた受験が終わると。
あたしは、死に向かうような気持ちが沸き起こった。