この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ラストチルドレン
第6章 貴方の居ない世界
大学では、それなりに出会いがあって。
友達が出来て、サークルに勧誘されたりもしたけれど。
ポッカリ穴が出来たように、何に対しても無気力だった。
学びたいものがあるわけじゃない。
就活に有利な資格を取って、苦労をかけないようにただ生きていく。
目標も無く、バイトしなきゃってそれだけで。
母親が頑張って働いている、だからあたしも頑張る。
それだけなんだ。
達巳の居ない世界で、あたしは何もかも失ってしまった。
希望も、未来も。
そんなあたしに、翼くんだけはずっと傍に居た。
Γ飯、行こうぜ?」
講義を受ける場所も違うし、あたしの所までは広い校舎で遠いはずなのに 。
毎日、あたしの所にやってくる。
Γあたしたち、先に行くね~ごゆっくり~」
友達は翼くんとあたしが付き合っていると思っているのか、こうやって要らない気をきかせて立ち去っていく。
Γ……友達は居ないの?」
Γ居るわ!けど、俺は楓とご飯行きたいの!」
呆れるほど、あたしに寄り付いて離れない。
冷たい言葉を何度浴びせても無駄だった。
Γほっといたら、飯食わねーだろ。高校の時もそうだったし」
Γ気付いてたんだ」
Γ当たり前だろ、常に見てんだよこっちは」
Γストーカーって言うんだよ、そういうの」
Γうるせぇ。何とでもいいやがれっ!ほら、行くぞ」
やっぱり、離れてはくれないんだ。