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ラストチルドレン
第6章 貴方の居ない世界
高峰さんはその後、何度かあたしを呼んでは注文をした。
三杯目の生ビールを渡しに行ったとき、高峰さんは上がりの時間を聞いてきた。
Γ話したいことがある。すぐに終わるから付き合って?」
あたしは頷き、その場を離れた。
22時で上がりのあたしは時計を見ればあと一時間で終わる事を確認した。
話したいこと……あたしと高峰さんの共通は達巳だ。
ならば、達巳のことなんだろう。
達巳が居なくても、達巳を思い出させてくれる人は居る。
こうやって、望んでなくても達巳の影が見える。
忘れたい訳じゃない。
でも、今はまだ受け止められないんだ。
達巳が居ない現実も、こうして生きている自分も。
月日がいくら流れてもあたしから達巳は消えない。
思い出を抱えて強く生きていけるほど、あたしは大人になれない。
皆、前を向いて生きているのに。あたしは後ろばかり振り返っているような気がした。