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ラストチルドレン
第6章 貴方の居ない世界
予定通り22時にバイトを上がり、高峰さんと近くの公園に立ち寄った。
ブランコとベンチしかないこの場所で高峰さんはブランコに座ろうと、今は二人で揺れている。
足を少しだけ浮かせて前後に動けば、錆び付いた金属音が響いて、何だか物悲しい。
Γごめんね、疲れてるやろうに」
Γいいえ。それより話って何ですか?」
高峰さんは視線を前に移動させ、あたしの顔を見ずに話し出した。
Γ達巳の墓参りにこないだ行った。漸くだよ。それまで全然行けなくてさ。会わせる顔が無いっていうか」
高峰さんは、苦笑してまた話し出す。
Γ謝ってきた。守れなかったこととか。もっと話聞いてやれば良かったこととか。楓ちゃんに達巳が話そうとしてたこと。今でも聞きたいって思う?」
そう、問われ。あたしは少し考えた。
達巳があの日、あたしを呼び出したのは話があったから。
結局、聞けないまま月日は流れてしまって。
今更、思い返すことも無くなっていた。
達巳が居ない今、どんな言葉もあたしには響かない気がしたから。
だって、それがどんな内容でも達巳はこの世に居ない。
それに対して返事が出来ないなんて、悲しすぎる。
Γ聞きたくないって言ったら嘘になります。でも、もういいかなって。あたしたちは別れたんです。呼び出される前に終わっていて。あたしは認めたくなかったけど、達巳が終わりを告げた。それだけがあたしの中の事実なんです。あの日から時は止まりましたけど。あたしは彼女のまま終われなかった。達巳の中では元カノなんです」
自分で言って悲しい。
でも、そうでしょう?
すがり付いても、変わらなかった。
あたしは、元カノ。
なのに、今でも好きだなんて。
未練がましい女なの。