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ラストチルドレン
第6章 貴方の居ない世界


高峰さんは、黙って話を聞いた。

もう、ブランコを揺らさずに地面に足をつけて静かに座っていた。

夜の静寂さの中、あたしの声だけが闇に消えていく。

Γ終わってなんかいないよ。達巳の中でも、楓ちゃんはちゃんと彼女だった。アイツは別れたくて別れたんじゃない。本心じゃなかったんや」

Γそうなんですか……」

Γあの日、達巳はちゃんと理由を話そうとしてた。一人で言う勇気がなくて俺に立ち会うようにって。だから、楓ちゃんは元カノなんかじゃないんよ」

ーーー楓ちゃんは達巳の最愛の人なんや

風が吹いた。

あたしの髪を揺らして、まるで達巳がここに居るような錯覚を起こす。

頭を撫でられたような気がした。

Γ達巳は楓ちゃんとやり直したかったんや。伝えられないまま、逝っちまったけど」

Γそれが聞けて良かったです。あたしは、まだ達巳の彼女なんだって……思えたから」

心がじんわり暖かくなる。

あたしの愛は、達巳に届いているだろうか。

達巳の愛は、今受け取ったよ?

もう、いいでしょ?

かくれんぼは終わりにしよ?達巳。

もう出てきていいんだよ?

あたし、頑張ったんだよ!

ねぇ、達巳……お願いだから。

会いに来てよ………。

Γ楓ちゃん……辛いな。受け止めろなんて言わんけど。吐き出しや?ちゃんと心の声…」

高峰さんは、あたしの頭を撫でた。

達巳のように優しくゆっくりと。

あたしは、また高峰さんの前で泣いた。

全部吐き出して、今日までの日々も。

これから先の不安も全部。

ワンワン泣くあたしに、黙って隣に居てくれた。

あたしの周りにいる人はどうして皆優しいのだろう。




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