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ラストチルドレン
第6章 貴方の居ない世界
大学生活は何事もなく順調に進んでいる。
一つを除いては--。
「ねぇ、翼くんってホントに彼氏じゃないの?」
同じ講義を受けるマキがあたしにそう聞いてくるのはもう何回目だろうか。
「だから違うって。ただの高校からの同級生」
「じゃあさ、翼くん狙っていい?」
「お好きにどうぞ?」
どこがいいのか、翼君は大学ではモテた。
金髪ヤンキー時代を知っているあたしからしたらその魅力は分からない。
けれど、今では黒髪短髪で子犬系ってマキが言う。
全然理解できないけれど。
「でもなぁ、翼くん楓にゾッコンじゃん?脈無しだよね~」
「押して押しまくれば落とせるんじゃない?いつまでも好きなんて言わないでしょ」
「そうかなぁ~かなり一途そう…まぁそういうところもポイント高いんだけど」
どれだけ好きと言われても冷たくあしらうあたしに、もうそろそろウンザリすると思う。
あたしには達巳が居て、達巳しか好きになれないこの状況でまだ諦められないのなら強者すぎる。
翼くんだってこれだけモテれば他に乗り換えるだろう。
それが男の子ってものだ。
逆にあたしがその立場ならとっくに諦めている。
実らないと分かっている恋は、しない。