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ラストチルドレン
第7章 ラストチルドレン

「やっとまとまった休み貰えたよ。楓は?」
「あたしも、文句言われたけど何とか。新人のくせに生意気だってさ」
「すげ~言われよう。ま、これで会いに行けるな」
翼くんはIT関連の会社に就職し、あたしもOLとして働きだしてから半年。
漸く、達巳に会いに行くことになった。
翼くんから場所を聞けば、修学旅行で訪れた県だった。
「何か達巳の部屋に写真があって、大事に飾られてたから達巳の爺ちゃんがそこに建てたらしいよ。今まで何にもしてあげられなかったからって」
「それってまさか…丘の上?」
「そうだよ?何で知ってんの?」
「その写真、あたしがあげたから…」
「マジか…どこまでも楓が嬉しがることするよな~建てたのは爺ちゃんだけど」
笑いながら、翼くんは悔しそうだった。
達巳…あの写真飾ってくれてたんだ。
嬉しさと切なさがふわっと押し寄せる。
「とにかく、今週末。迎えに行くから」
「分かった…翼くん。本当にありがとう」
「お礼はいいから。ちゃんと話せよ、達巳に」
電話を切り、カレンダーを見る。
漸くだね、お待たせ達巳。

