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ラストチルドレン
第7章 ラストチルドレン

お店を出てからはタクシーで達巳のお墓に向かった。
バスでも電車でもなくタクシーを選択するのがあたしたちが大人になった証拠だ。
タクシーを走らせて一時間。
高校二年の修学旅行で訪れたこの小高い丘。
「ここの坂、キツイんだよなぁ」
「そうだね…そうだった…」
懐かしさがふわっと漂う。摩耶と文句を言いながら登ったっけ。
約40分。この坂を上り切れば達巳に会える。
翼くんとあたしの息遣いだけが響く静かな場所。
周りは何もない田舎道。
人にもすれ違わず、あたしたちは到着した。
そう、緑が生い茂り空気が澄んだこの場所に。
あの時、摩耶と見た絶景を、今は翼くんとみている。
「綺麗だよね…この景色」
「ああ。達巳は毎日見てるんだぜ?ほら、あそこで」
ベンチしか無かった広場の隅っこに、ぽつんとお墓があった。
あまりにも雰囲気が違い過ぎて似合わない。
お爺さん、ここにお墓建てるの苦労しただろうな。
「俺はここで景色見てるから…話して来いよ」
翼くんはあたしと達巳を二人きりにしてくれるみたいで。
そっと、背中を押された。

