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ラストチルドレン
第1章 拾われた体・あたしの気持ち



瞳にバイトを紹介して貰うため、土曜日の午後駅前で待ち合わせをした。

どうやら、電車で30分で行ける繁華街に仕事があるそうで俺は行ったことのない未知なる場所に期待と不安が混じり合う複雑な心境だった。

「お待たせ。達巳君、顔怖いよ?」

「ごめん。緊張してて」

「大丈夫やって。簡単な仕事やから」

瞳は俺の腕を引き、駅に入っていく。

時刻表を見たら、五分後に電車が着くようで慌てて切符を買った。

電車が到着して揺れる電車の中でも緊張している俺にバカな笑い話を必死に話してくれる瞳が可愛かった。

いつの間にか吹き飛んだ緊張感は、繁華街に降り立った時には戻ってきていたけど。

瞳が案内してくれたのは汚ならしいビルの五階。

看板も無い扉を開けて、中に入ると見るからに怪しい事務所が構えてあった。

奥にいる、黒の皮椅子に座る男に瞳は連れてきたよ、と声をかけた。

「おう。兄ちゃん。そこ座り?」

促された客用ソファーに座ると男は、向かいに座った。

「金、欲しいんやって?」

威圧感たっぷりの男に萎縮しながら、返事をしたけれど声が上擦った。

「なんよ、緊張しとるんか。可愛いなぁ」

馬鹿にされてるんだろうな。嬉しくもない可愛いと言う言葉にこめかみが動いた。




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