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ラストチルドレン
第1章 拾われた体・あたしの気持ち

ネオン輝く街中を俺はただ呆然と歩いている。
すれ違う人達は皆着飾り、夜を楽しんでいるように見えた。
barがあったり、キャバクラ、ホストクラブ、そしてピンクのネオンに照らされた卑猥なお店。
そのどれもが、テレビドラマでしか見たことが無い俺はただの観光客のように左右に首を振っていた。
ケツポケットに忍ばせた茶封筒を時々触って確かめて、これは現実なんだと思い知る。
カズさんに頼まれた仕事を、俺は結局受け入れた。
あの謎の箱を、指定された私書箱に置いてきただけ。
事務所に戻ってきた時、カズさんから十万の入ったこの封筒を受け取った。
「これからも頼むわ、兄ちゃん」
そう言われて肩を叩かれた。
指に光るゴツい指輪が肩に当たって痛みを感じた。
けれど、そんなことどうでも良かった。
十万が貰えた。たった一時間で、だ。
興奮と、初めて親に内緒でピアスを開けた時と似た背徳感に襲われたが時間が経つにつれて、薄らいでいった。
瞳と事務所を出たときに、どういう関係か尋ねた。
「父親の知り合いなんよ。皆には内緒」
それ以上は言わなかった。
一緒に帰ろうと言われたが、せっかくだからとこの街に残った。
色々見て回りたかったし、何よりもこの満足感と幸福感に一人で酔いしれていたかった。

