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ラストチルドレン
第1章 拾われた体・あたしの気持ち

夜の街は、何だか強くなったような気を起こさせる。
今なら何でも出来るんじゃないかって。
あのボロい家に一人で孤独に苛まれていた俺とはサヨナラ出来るんじゃないかって。
カズさんは、次も頼むって言ってくれた。
連絡先を交換し、俺はカズさんからの連絡を待てばいい。
今までやっていたバイトを少しだけ減らして、掛け持ちすれば時間に余裕も出来るし、尚且つ収入は増える。
カズさんは、俺を暗闇から拾ってくれた。
今、俺は一本の蜘蛛の糸を掴もうとしている。
チャンスとピンチは表裏一体。
少しでもヘマをすれば、俺は再び暗闇に落ちる。
大丈夫、カズさんの指示通りに動けば何も心配いらない。
変な自信と、圧倒的な信頼に根拠なんてなかった。
金は人の気持ちを動かすし、飲み込む。
俺の母親だってそうだ。親父が蒸発してからは金の匂いがする男に取り入って、生活を安定させてきた。
入学金までは出してくれていたが俺が高校に慣れた頃、一人で生きれるでしょ?なんて言って男の住む家に引っ越した。
たまに帰ってきて様子を見て、俺が生きていると分かったらまた出ていく。
それの繰り返しで、口を開けば喧嘩ばかりする。
あんな女の子どもだなんて、吐き気がする。
俺は一人で生きていく。
自分で稼いで、自由を手にする。
俺を繋ぐ重たい鎖は、高校を卒業すれば外れるんだ。

