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ラストチルドレン
第1章 拾われた体・あたしの気持ち

◇
一度は住みたい田舎ランキング第一位とデカデカと書かれた雑誌を見てため息を吐いた。
緑、茶色、水色、あとは最近出来た住宅地に建ち並ぶ虹のような屋根。
あたしの目に映る色なんてそんなものばかり。
趣味の悪い人間がデザインしたあの住宅は本当に目障り。
それなら、まだ田んぼと山と川を眺めていた方が百倍マシだろう。
治安も良くて住みやすく、地域住民との助け合いで築かれた街。
そんな説明文を見て吐きそうになった。
悪いことなんて書きはしないだろう、その雑誌を丸めて隣に寝そべる男の頭を叩いてやった。
「起きろ、達巳。昼休みだよ」
叩かれた頭を撫でながらむくりと起き上がる達巳。
眠気眼な表情であたしを見て笑う。
「おはよう、楓。寝てないの?」
「うん…」
「そっか…よし飯食いに行こ」
達巳は起き上がり、ズボンの埃を払いあたしに手を差し出す。
それに応えて立ち上がりあたしたちは屋上を後にする。
いつもの日常。
変わらない時間。
あたしたちの青春。

