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ラストチルドレン
第2章 捨てられた子供・気付かない親心

達巳から連絡が来たのは、夏休みが始まって10日程経った頃だった。
普段鳴らない達巳専用の着信音が部屋に響く。
夏の暑さ、何もする気が起きないあたしは、ベッドでゴロゴロしていて、音を聞いた瞬間飛び起きた。
二つ折りの携帯をゆっくり開き、メールマークにカーソルを合わせると、達巳という二文字が表示される。
内容は至ってシンプルで、来週の水曜日に海に行こう。時間は朝九時に迎えにいく。と書いてあった。
それだけのメールなのに、何度も読み返した後、保護マークにして携帯を閉じた。
達巳からの初めてのメールだった。
何を着ていこう?水着は去年と同じだけど、達巳は見ていないからいいとして。
ああでもない、こうでもないと押し入れのタンスを引っ張り出しては、一人ファッションショーを繰り広げる。
散々悩んだ結果、薄手のパーカーにショートパンツというラフな格好だった。
去年、海は人がたくさん居て着替えが大変だったことを思い出して、水着は下に着ていこうと思った。
なるべく達巳には迷惑がかからないように。
せっかくの遊びの誘いだ。
お互いに楽しい思い出にしたいから。
自分の考え付く限りの段取りを頭の中で何度も繰り返した。

