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ラストチルドレン
第2章 捨てられた子供・気付かない親心
「こういう場所で飯ってのもいいな!」
「そうやね。おいしっ!」
頬にカレーをつけて食べる達巳が可愛かった。
子供っぽいのに、然り気無く紳士で。
クラスの男子と比べたら、達巳はやっぱり特別で。
憧れが恋に変わるのなんて、一瞬だった。
学校の中じゃ、知ることの無かった達巳の一面。
今まで、こんなに心臓が鼓動したりはしなかった。
達巳の笑顔に癒され、何気ない仕草にドキッとする。
あたしは、達巳が好き。
これは、言い訳が出来ないくらいに恋とか愛なんだろうと思えた。
だって今あたし、この達巳の笑顔を独り占めしたいって思えたから。
そんな感情が自分にもあるなんて驚いて、それからは達巳の顔をあまり見れなかった。
昼食を済ませて、また海で泳いで。
砂浜でお城を作ったり、貝殻を集めたりして。
グッタリした頃にはもう、夕方。
夕陽が赤く染まり、海が夕陽と混ざろうと静かに流れていた。
波の音を聞きながら、砂浜近くの石段に座り込む。
赤く照らされた達巳の横顔を盗み見れば、とても満足したような笑顔がそこに咲いていた。
「楽しかったな」
「うん。達巳子供みたいだった」
「楓も、はしゃいでたし」
お互い様だねと、笑いあった。

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