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ラストチルドレン
第2章 捨てられた子供・気付かない親心

「母ちゃん…ぐる…じぃ」
泣きながら、母親の手首を握るが情けない男の力は非力で母親の手は離れない。
それでも、しばらく経てば母親は我に返り手を離す。
「ごめんね……ごめんね…達巳…」
この行為は情けない男が中学生になるまで続いた。
中学二年の時、父親はとうとう帰らなくなった。
テーブルに判子のついた離婚届が置かれていて、母親は泣きながら俺を抱き締めた。
「もう、母ちゃん駄目やわ…」
「しっかりしてよ!俺がおるよ」
慰めても慰めても流れる涙。
父親は情けない男と、その母親を捨てたんだ。
母親は、しばらく経つと水商売を始める。
家計を助けるため、仕方なく。
情けない男も、新聞配達のアルバイトを始めた。
二人で何とか生きていこう…そう思っていたのに。
母親は水商売で出会った男に恋をし、度々家に帰らなかった。
けれど、その男は裕福で情けない男の生活を援助してくれた。
母親を通して、封筒に入ったお金がテーブルに置かれ情けない男の食費や生活費を賄った。
誰か知らない男に、情けない男は感謝し何とか生き延びた。
しかし、高校入学の時。
その援助はピタリと止んだ。

