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ラストチルドレン
第2章 捨てられた子供・気付かない親心
母親が、荷物を纏めているのを見てどうしてか尋ねた。

「あんたも、大きくなったんやから一人で生きていけるやろ?母さん、男の人の家に住むことになったから。学費も生活費もバイトして稼いでおいで。あんたは男なんやから」

「そんなん、無理に決まってるやろ!バイトだってそんなに稼げんのやし」

「どうしても、無理になったら言うて。母さんが頼んであげるから。お金貸してって」

その言葉を残して、情けない男はとうとう母親にも捨てられた。

広い一軒家に、ポツンと佇む情けない男。

飼っていた猫の鈴も、母親が出ていった時に家を飛び出して帰ってこなかった。

涙を流しても、もう誰も居ない。

生きるのに必死で、友達ともロクに遊べなかった。

それでも、高校だけが情けない男の居場所で。

辞めたくは無かった。

「なぁ、達巳。あの子可愛くない?」

クラスの男子が指を指したのは、茶髪で制服を着崩した女子。

「うん…そうやな」

どこを見つめているのか無気力なその眼差しに何故か惹かれた。

少しだけ、飼い猫の鈴に似てると思った。

気高く、呼ばないと絶対近寄ってこない鈴。

情けない男は、試しにその女子を呼んでみることにした。


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