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ラストチルドレン
第2章 捨てられた子供・気付かない親心


隣に居るはずの達巳が遠く感じた。

気が付いたら涙が流れていて、あたしは達巳の右手を握った。

この波が、達巳の悲しみを全て持ち去って行ってくれたらいいのに。

あたしには、ただ隣に居ることしか出来ないから。

あたしは、達巳の悲しみの全てを分かるわけじゃない。

きっと、共有出来たのは少しだけ。

それでも、達巳が自分の口から溢したこれまでの時間をあたしに聞かせたのは。

きっと、まだどこかであたしが居なくなってしまうんじゃないかという不安があるから。

母親のように、猫のように。

いつか、消えてしまうんじゃないかって。

達巳が思っている気がして、握りしめる手に力を込めた。

あたしは、ここにいるよ。

そう伝えるように…。

「シャワー浴びて帰ろうか」

「うん…」

海の家に隣接しているシャワー室に向かって歩き出す。

繋いだ手はお互い、離さなかった。

砂浜に足跡をつけて、一歩ずつ進む。

海風と涙で顔はベタベタだった。

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