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ラストチルドレン
第2章 捨てられた子供・気付かない親心


「晩御飯、どうする?時間ある?」

自転車を漕ぎながら達巳が問いかける。

「食べてくるって言ったから平気」

お腹に回した手に力を込める。

離れたくないという小さな意思表示。

伝わったのか、達巳は少し間を置いて…

「俺んち来る?」

そう言った。

入ったことの無い達巳の家。

いつも通りすぎるだけの達巳の家に。

あたしは、今夜足を踏み入れる。

「行きたい…」

あたしの好きな達巳の匂いがするあの家に。





達巳の家に到着するまで、あっという間だった。

どうして、行きより帰りの方が時間が経つのが早いのだろうか。

自転車を止めて、鍵穴に鍵を差し込む。

ガチャリと開いた扉に、中に入るよう促される。

お邪魔しますと、小さく答えて中に入るとそこは達巳の匂いが溢れていてそれだけで幸せだった。

小さな木造家屋。

リビングと言うより、居間という感じの広い空間に案内された。

「何食べたい?簡単なものなら作れるけど。あ、荷物適当にそこ置いて。座ってていいよ」

大きな四角いテーブルに座布団が敷いてある場所を指して、そう言った。

「手伝うよ」

荷物を部屋の隅に置いて、あたしは達巳の背中を追いかける。

キッチンに入ると、意外に綺麗で本当に料理したことあるのか?と思ったが、使いかけの調味料が並んでいて、普段から自炊しているのが窺えた。

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