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ラストチルドレン
第2章 捨てられた子供・気付かない親心

「肉じゃが食べたい」
ポツリ溢した言葉に達巳は笑う。
「女の手料理の代名詞だな」
「普通は男がおねだりするけどね」
あたしは、和食が好き。
その人の味付けがすぐに分かるから。
達巳の味を知りたくてそんなお願いをする。
「じゃあ手伝ってな」
「はいよ~」
二人で小さな狭いキッチンに並ぶ。
人参や玉葱を洗ったり、切ったりしている達巳の手付きが慣れすぎていて、つい見とれてしまう。
あたしは、普段お母さんのお手伝いをあまり進んでやらないから、きっと達巳の方が料理がうまいだろうな。
手際よく進む中、あたしはただ達巳の細い指が繊細に動く様を見つめる。
大した手伝いも出来ないまま、肉じゃがは完成した。
「あとは、味噌汁とご飯でいいか?」
「うん。ありがとう」
食卓に並ぶあたしがリクエストした肉じゃが。
炊きたてのご飯とお味噌汁。
二人で手を合わせていただきますをする。
初めて食べる達巳の手料理は、とてもおいしかった。
「達巳…上手やね。おいしいよ」
「そら、どうも」
「羨ましいな。あたしも頑張らないと」
「楓の料理か…胃薬あったかな」
「おい!」
そんな冗談を言いながら、完食した。

