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ラストチルドレン
第2章 捨てられた子供・気付かない親心

何で、達巳は全てを背負うとするの?
あたしは、達巳に守られてばかり。
「もう、楓には近づかないで!」
そう言って、母親はあたしの腕を引いて家に入ろうとする。
首だけ振り返ると、達巳はとても優しい顔をして手を振った。
気にするな…そう言われてるみたいで。
泣きたくなった。
扉が閉まり、達巳の姿が見えなくなった後も母親は説教をガミガミとし出した。
うるさい…あんたに何が分かるの…
無事だったんだからいいじゃん…
そう思いながら母親の話を聞いた。
「達巳は悪くない!あたしが帰りたくなかったの!」
何度も伝えたのに、母親は達巳と関わるなの一点張り。
ムカついて、あたしは言った。
「他に女作ってるかもしれないお父さんの帰りをただひたすら黙って待ってるお母さんみたいになりたくないの!あたしは、あたしの幸せを大事にしたいだけ!達巳はあたしを守ってくれた大事な人なの!ほっといてよ!」
母親は目を見開いてあたしを見つめる。
一筋の涙を流しながら…。
途端に言い過ぎたと思って罪悪感が襲ったけれど一度口に出した言葉はもう流せない。
それでも、素直になれないあたしは黙って部屋に戻る。
今日もお父さんの靴は無かった。
きっと、一人でこの広い家で待ってて寂しかったのかもしれない。
達巳のように、眠れずにいるのかもしれない。
でも、あたしは母親のようにはなりたくない。
これは、本心だった。

