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ラストチルドレン
第3章 壊れていく日常・守りたいもの

それから三日後、母親は戻ってきた。
籍を入れていないから、家出してきたんだとか。
顔には痣があって、本当に暴力を振るわれていたのだと知り胸が痛んだ。
男の力は女をいたぶる為にあるんじゃない。
俺たち男は女を守るために力が強いんだ。
そうやって、神様が作ったんだと俺は思う。
なのに、現実は違っていて。
女を黙らせるため、服従させるため、ストレスを発散するため。
時には女だけじゃなく、子供や動物にまで。
そんなニュースはあちこちに流れている。
「母さん、ひどい顔してるやろぉ?こんな顔じゃお店にも出れんわ」
「しばらく休みなよ。どんな生活してたか知らないけど疲れたんやない?休めるときに休めば?」
「ありがとう…達巳は昔から優しいね…最近は喧嘩ばっかりやったけど…母さん心入れ替えるから…ごめんね苦労させて」
母親の一言、一言が心に刺さる。
こんな言葉で済む程、簡単なことじゃないのに。
今までの仕打ちを考えたら、到底許せないのに。
倒れてしまいそうな心を立て直す。
今だけだ、きっと弱っているからだ。
元気になれば、この人はきっとまた俺を捨てる。
そう言い聞かせた。
自分の心が壊れないように予防線を張る。
信じるな…信じるな!!

