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ラストチルドレン
第3章 壊れていく日常・守りたいもの

「次会えるのは…新学期か」
「そうやね、あたしいつまで外出禁止なんやろ」
早く解けるといいな…そう達巳が言った時、達巳の家から派手な女の人が出てくるのが見えた。
「達巳…あの人は?」
「母親…帰ってきてん。こないだ」
達巳の険しい顔。
初めて見る、怒りや苦しさを含んだ顔。
海の日に見た悲しい顔とは違う。
あの人が、達巳を捨てた――――。
あたしの胸はドクンッと鳴って、ギュッと締め付けられた。
母親は、あたしたちを見つけると一歩、二歩と近付く。
「達巳、おかえり。そちらは?」
「彼女やけど?」
「そう…。初めまして、達巳の母です」
気品高く、上品な振る舞いの母親にあたしは頭を下げて名前を名乗った。
心底、どうでも良さそうにそれを聞いた後、出掛けてくると達巳に伝えて、背を向けた。
あたしよりも、身長が高くてモデルのような体に整った顔立ち。
母親という雰囲気はまるでなく、一人の女だった。
達巳の顔立ちの良さは母親譲りなんだな、と思った。
「ごめん、愛想無くて」
「ううん。気にしてないよ」
きっと、どんな母親も一人息子の彼女にはあんな感じなんだろうと、言い聞かせた。

