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ラストチルドレン
第3章 壊れていく日常・守りたいもの

達巳を幸せにしてやれないくせに、達巳の心を離しはしないあの母親があたしには、疎ましく思える。
いっそ、どこかで死んでくれたら……
そんな黒い感情が沸き上がるほど、あたしは達巳を愛している。
恋も愛も知らなかったあたしに、達巳はたくさんの愛をくれた。
もしも、達巳が望むのならあたしは殺人者になれるだろう。
達巳の幸せを誰よりも願っているのはあたしだ。
そんなこと、達巳は絶対に望まないのだろうけど。
担任の長ったらしいHRが終わり、10分の休み時間。
摩耶はあたしに近寄り、話があると手を引いた。
チラッと達巳を見ればクラスメートが達巳の席を囲んでいたから、あたしたちには気付いていなかった。
摩耶と屋上に上がると、手は離された。
「話って何?」
「あのね、あたしの彼氏って繁華街で働いてる人でさ」
そう話し出す摩耶。
「こないだ、彼と繁華街で歩いてたら、達巳君見掛けてさ」
「は……?達巳を? 」
「ある、ビルに入っていくのが見えて、あのビルに何があるのか彼氏に聞いたら島村組の事務所って言ったの」
「ちょっと待ってよ…島村組って。ヤクザってこと?いきなりすぎて、よく分かんない」
あまりにも、現実的じゃない話に混乱する。

