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ラストチルドレン
第3章 壊れていく日常・守りたいもの

「達巳……話がある。帰りながら聴いて?」
「おう…なんや、話って」
深呼吸を一つ。色々考えたけど、ストレートに聞こうと思ったあたしは、達巳に向かって言葉を投げ掛ける。
「達巳……繁華街に出入りしてるってホント?」
宙に浮いた言葉を達巳は受け止めてくれるのか。
答えを知りたくて返事を待つ。
やけに長い沈黙の後、誰に聞いたの?と達巳は言った。
それは認めるってこと?
達巳は本当にヤクザと繋がっているの?
「母親が、近所の噂で聞いたって。ヤクザの事務所に入っていくの見たって聞いた」
摩耶の名前は出さなかった。
出す必要もないと思ったから。
知りたいのは、なぜ達巳がヤクザの事務所に出入りしているのか。
何かあるなら、教えてほしい。
「達巳、何してるん?」
「バイトだよ。仕事貰ってたんよ。知り合いに紹介してもらってさ。凄い額の給料貰えてたから、お世話になってた」
「仕事?危ないことじゃないの?それって」
達巳は歩くのを止めて、あたしを見つめる。
あたしも、それに気付いて立ち止まる。
学校からはもう大分離れて、周りは田んぼしかない道。
風が吹いて髪が揺れる。
前髪を手で押さえながら、達巳を見れば弱々しい顔をしていた。
「危ないのかもな。でも、もう辞めようと思ってた。楓を悲しませたくないから」
「うん…それがいいよ。」
「ヤバイ薬、売れって言われた時、俺このままじゃ捕まるって思った。でも金欲しくて揺れてたけど、楓のこと見てたら辞めようって思えたんよ」

