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ラストチルドレン
第3章 壊れていく日常・守りたいもの

出し物が決まり、次の日から準備が始まった。

演劇部からは、衣装を借りることが出来て、男子たちの衣装に大笑いした。

フリッフリのドレスだったり、チャイナ、清楚なOL風のスーツ。

「てか、サイズ入るわけ?」

クラスの女子が衣装を広げながら笑う。

「パツパツな感じが笑えるんじゃない?」

「達巳君とか、これ似合いそう」

そう言って取り出したのは白を基調にしたピンクのフリルが甘ったるいドレスだった。

「ウィッグとか着けてさ、絶対に似合うよね~」

盛り上がる女子たちに、あたしは心の中で達巳に同情した。

きっと、恥ずかしがって顔を赤く染めるだろう。

その顔が、周りの女子たちにとって最高の表情だってことに達巳は気付かないのだろう。

想像するだけで、笑えてしまう。

そんなあたしに、他の女子が似合うから!と言って差し出してきた衣装に、目を丸くした。

「これ、あたしに着ろって?」

「うん!楓なら似合うから!」

「マジか…でもドレスよりマシか」


手にしたのは、男物のスーツ。

サイズは直すと言われたが、学生のあたしはスーツなんて着たことが無くて、少し驚いた。

「楓の男装楽しみだよね~」

どうやら、一部の女子からは期待されているようで達巳の事を同情している場合では無かったようだ。

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