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ラストチルドレン
第3章 壊れていく日常・守りたいもの

◇
連日の準備で前日まで疲れきっていたクラスの皆は、当日。嘘のように活気づいていた。
「開店すっぞー」
女子は廊下で客引き、男子は教室内で接客という配置。
あたしは、裾上げされた自分の体にピッタリなサイズのスーツを着て、お客さんを待った。
「てかさぁ、何で楓はスーツであたしは、特攻服なわけ?」
赤の特攻服を着こなす摩耶に笑いを堪える。
「似合ってるよ?すっごく」
「はぁ。楓の方がキマッてんじゃん」
黒のストライプ柄のスーツに、髪は後ろで一纏めにした。
周りの女子は歓声を上げて、写真を何枚も撮られた。
悪い気はしないけど、女子としては複雑だ。
あたしたちは、前半店を手伝い、後半は他のクラスの店を回る予定。
勿論、あたしは達巳と回る。それを摩耶に言うと拗ねたように「友達より男なんだね」と言われてしまった。
散々謝り、漸く許しを得た。
摩耶には悪いけど、これがラストの文化祭。
去年は達巳と回らなかった分、今年は楽しみたいのだ。
達巳と二人で。

