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ラストチルドレン
第3章 壊れていく日常・守りたいもの


「いらっしゃいませ~」

「どうぞ、中へ。素敵なレディがお待ちですよ?」

店の中は、開始一時間で満席状態。

どこから聞いてきたのか、その大半が女装している達巳狙いのお客さんばかりだ。

男子も女子も、達巳の女装姿に黄色の声を上げているのが廊下に居ても聞こえてくる。

「いや~達巳のお陰で売り上げ上がるよね~」

会計の男子が、眼鏡を上げながら笑う。

どうやら、あたしたちのクラスは赤字にならずに済みそうだ。

「達巳の接客も段々、様になってるしなぁ。まぁ本人はヤケクソだろうけど」

達巳の接客は、本人から見るなと言われているが止められると余計見たくなるのが人間だ。

あたしは、呼び込みを摩耶に任せてそうっと廊下の窓から中を見る。

フリルが可愛いドレスを着こなす達巳はすぐに見つかった。

丁度、トレイを手に客席に向かう所だった。

「ご注文のぉ~コーヒーとサンドイッチでぇす。コーヒーは熱いのでフゥフゥしてから飲んでくださぁい」

語尾をこれでもかと伸ばしながら話す達巳に、思わず吹き出してしまった。

可愛いけれど、その口調は腹筋崩壊レベルだ。

窓を静かに閉め、摩耶の元へ戻る。

「達巳君、どうだった?」

「一生ネタになるね、ありゃ」

思い出しただけで、笑いが込み上げてくる。

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