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ラストチルドレン
第3章 壊れていく日常・守りたいもの
人だかりを掻き分け、現れた達巳の姿に不覚にも---。
「お待たせ、行こっか」
「っ……うん」
ドキッとさせられてしまった。
黒のスーツを身に纏った達巳。
それは、あたしがさっきまで着ていたモノと同じタイプでやはり、男子が着ると様になる。
顔が赤くなるのを必死に抑えようとしたが無理だ。
「似合いすぎ、てか目立つし」
「楓も似合ってたよ?俺も着たくなって、演劇部に頼んどいた」
「ふぅん。カッコイイじゃん…」
「ありがとう!よし、じゃあ回りますか」
達巳はポケットから校内マップを取りだし、あたしに見せてきた。
「とりあえず、お腹空かね?食べ物屋は、2階と…3階にもあるな!」
「じゃあ近いところから、行こっか」
「おう、全制覇しよ」
キラキラ輝く笑顔に、どうしようもなく愛しくなる。
然り気無く、繋がれた手にあたしはそっと握り返した。
幸せだなって、思いながら。