この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ラストチルドレン
第3章 壊れていく日常・守りたいもの

今度は、さっきよりもじっくり狙いを定めているのか引き金を引くまで時間がかかった。
コルクは一直線に景品であるネックレスの箱、ど真ん中に命中し、コトンと音を立てて床に落ちた。
Γやったぁ!楓、とれたぞ!」
ガッツポーズをしながら、店員に渡された箱をそのままあたしに渡す。
とりあえず、周りが見ているからとあたしはぶっきらぼうに受け取り、教室を出る。
廊下で並んで歩いている時に、漸く景品を眺めてみた。
キラキラ輝くシルバー、何かの華と葉っぱがモチーフのシンプルなアクセサリーだった。
Γ達巳、ありがとう!」
お礼を言うと、達巳は満足した笑顔を見せてくれた。
Γ毎日つけてや?」
Γうん、制服の下に隠れるしね」
あたしは、その箱を大事にポケットに入れた。
達巳からの初めてのプレゼントだった。
次は、どこを回ろうか?なんてマップとにらめっこしていたら、前方から摩耶が勢いよく走ってきた。
すごく焦っているのか、顔が引きつっていた。
Γ楓!居た!探したよ!」
Γどうしたの?そんなに慌ててさ」
Γ達巳君も聞いて!写真部の出し物で、達巳君が繁華街に出入りしている写真がたくさん張り出されてんの!!」
それを聞いた瞬間、あたしは背筋に冷たいものが通った気がした。

