この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
馬鹿と天才と紙一重
第5章 紙一重の気持ち

「藍!」
「舞子ー!はやく購買いこいこっ!」
「それじゃ、今日の会議は終了。」
「なあ、ら…」
「おつかれさまですー!!!」
ここ1週間、私は修哉から避けて過ごしてきた。
ちなみに、放課後も家に帰って自分の部屋で勉強をしている。
明後日から前期中間考査がはじまるけど、この調子ならきっと大丈夫。
そんな私を見かねた舞子が度々心配のメールをしてくれるけど、全部「気にしないで!」って送り続けた。
次の日の朝、どうしてもわからない問題があって10分休憩の時に獅童くんに尋ねたんだけど…
「あー、あはは、ごめんね、わからないや」
と、ヘラヘラ笑っていた。
「俺に聞くより、浪岡くんに聞くといいんじゃないかな、へへ」
「…なによ。何で獅童くん1年の期末1位とれたのよ!」
「…椿のため。
俺、椿にふりむいて欲しかったから。」
突然、真面目な顔をしてそう言った。
ふーん…彼女のために1位になったんだ…ってかヘラヘラしないでいれるんだ。
「じゃあ彼女さんに聞くわよ」
伊月さん…話したことないけど…。
「伊月さーん」
頬杖をついて窓を見てた伊月さんに声をかけたらスローモーションのように、ゆっくりとこちらを向いた。
「…?」
さらり、と顔にかかっていた髪が伊月さんの綺麗な指で耳の後ろにかかった。
「うわ…美人…」
嘘でしょ…こんな綺麗な顔してたの?
「えっ、あの…相良さん?」
「あっ!」
我に返って慌ててワークを机の上に広げた。
「あのね!ちょっとわからなくて…」
指を差してここ!と言えば、問題を覗き込んだ。
…よく見たら胸おっきいなぁ、足も長くて綺麗だし。
「聞いてる?」
「!?」
ぱち、と視線があわさった。やばい、聞いてなかった…
「ふ、聞いてなかったんだ、あのねここの式は…」
「…………わ!わかりやすい!ありがとう!!」
修哉みたいな教え方だった、分かりやすくて、綺麗に笑う姿も、なんだか似ている。
バンッ!
机を思いきり叩かれた、痛そう。

