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馬鹿と天才と紙一重
第1章 馬鹿からの脱出


「か、帰りのHRサボっちゃったよ?」

掴まれた手を離そうと浪岡くんに声をかけた。

「もう担任には伝えてある、それより…藍

お前さっき隣の席のやつに触られてなかったか?」

キュとさらに力を込められて私は手を離すことが出来なくなってしまった。

「浪岡くんに…関係ないよ、…手、離して?」

「はぁ?今なんつった」

浪岡くんの空いた手が突然私の腰へと伸びて机に身体を押し付けている状態になって苦しい。

「おい、こっちに回れ」

腰に回した手も、繋がれた手も外されて、浪岡くんは何もない方へと回転式の椅子を動かして、まるで飼い猫を自分に乗せるかのように太ももをぽんと叩いた。

言われたまま机を迂回して浪岡くんの前に立てば、腕を伸ばして無理やり私を向かい合わせに座らせた。

「ちょっと!やめてよ!」

グッと腰を落とされ体重をかける羽目になって慌てて降りようとすればちょうど良く浪岡くんの口元に首筋が当たった。

「藍…久しぶりだ、この匂い」

スンと匂いをかがれて羞恥がこみあげどうにかして離れようとしてるのに、ビクともしない。

「やだ、浪岡くん、やだっ」

「まただ、何で俺のこと修哉って呼ばない?」

は!?そんなこと言ってる場合?早くおろしてよ!

「いいじゃない、それよりおろして、恥ずかしいし私重いんだから…」

「いくない、修哉って呼べよ……それに藍は軽いし柔らかいからこのままでいたい。」

高校生にもなって何でこんな甘えてきてんのよ!

抵抗も無意味だと思って身体の力を抜いた瞬間にヌルっと首を舐められた。

「やぁっ」

浪岡く…修哉が突然首を舐めて、そのままチュッチュと音を立てながらキスをした。

恋愛経験はほとんどない、男女交際すらしたことない私は顔を赤くして抑えることの出来ない吐息を漏らしてしまう。

「このくらいにしてやるよ、藍。

ちゃんと俺のそばにいろ、約束は守れよ」

毎度下がっていく定期テストも勝手に決められた修哉との約束も憂鬱。


その時はそう思っていた。


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