この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
呪いのしるしを、君の体に。
第8章 8
「っ、せんせ、先生です!」
高槻の指先が、ことりの敏感なところに触れる直前に
ことりはやっとの思いでそう告げた。
自分でも顔が真っ赤になっているのがわかる。
「彼氏より君を上手くイカせてあげられたかな?」
「初めてだったんで…答えられません」
高槻がびっくりした顔をする。
ことりは恥ずかしくて顔を背けた。
「え? 彼氏でイったことないの?」
「はい。初めての人ですし、付き合ってまだ数ヶ月ですから」
「じゃあ、始めての絶頂をくれたんだ?」
それにことりはぐ、っと唇を噛み締めた。
言いたくない。だけども、その黙秘は肯定を指し示すには充分だった。
「そうなの、ことり君?」
「…そう、です」
穴があったら入りたい。
それくらい、人に言葉であえて伝えなくてはいけないということは
ことりにとってはものすごく恥ずかしいことだった。
「ことり君、よく言えました」
顎を持ち上げられた瞬間、反射的にことりの張り手が飛び
高槻のほほにヒットした。
「そうそう、その反応が、君らしいね。
でも、僕は痛いの好きじゃないんだけどなぁ」
困ったような、うれしそうな顔をする高槻に
ことりは小さく「ばか。ド変態」と悪態をついた。
それが聞こえているのかいないのか
なぜか上機嫌で高槻は洗面所を去っていく。
鼻歌交じりなので、相当機嫌が良いようだった。
「信じられない、ぶたれて、機嫌がいいなんて…」
「あ、ことり君!」
「はいっ!?」
一息ついたのに、またもや高槻が現れたため
ことりは慌てて姿勢を正した。
「洗濯終わったら、僕の書斎に来て」
「嫌です」
「つれないなぁ。待っているから、いらっしゃい」
軽快にウインクをして高槻は去っていった。
ことりは、逆らうすべなど知らないのだが
できるだけゆっくりと洗濯物を干して
ゆっくりとお茶をしてから、精いっぱいの抵抗をして、書斎へと向かった。