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呪いのしるしを、君の体に。
第8章 8
「…先生…まさか…」
「まさか? 僕もそう思っている。
どうやら僕は、君にだけ欲情するようなんだよ」
ことりはめまいがした。
「君をいじめることに、ものすごく欲望を掻き立てられるんだ」
「そんな、先生、それは私が生身だからです…」
AVは確かに興奮するかもしれないが
その場にいないのだから、やっぱりいくら臨場感があっても
気持ちが昂ぶらないことだってあるはずだ。
ことりは、そう思いたかった。
「違うんだよ。その証拠は、明日見せてあげる。
明日は厄介な来客があるよ。君は、僕の書籍倉庫で見学していて」
「それに拒否権はありますか?」
もちろんあるわけないだろ、と高槻が狼になって
またもや愛液だらけになってことりが果てて気を失うまで
彼がことりをいじめぬいたのは言うまでもなかった。
********
翌日。
朝から来客の準備に忙しいことりに
高槻がちょっかいを出して
煙たがられるいつもの朝だった。
コーヒーを飲みながら一息つく彼の顔を見ながら
ことりは今日の来訪者の詳細を聞いていないことに気づいた。
「ところで先生」
「何?昨日のつづき?
またしても気を失って倒れちゃうなんてことり君は…」
「それ以上言ったらぶっ飛ばしますよ?」
ジロリと睨むと
高槻はハイハイと柔和に微笑む。
「今日のお客様って誰なんですか?」
「あー、えっとね、近くに住んでいるとある令嬢なんだけど…。
ちょっと厄介で…」
「厄介?」
その説明を聞き終わらないうちに
玄関のチャイムが鳴った。
ことりが出ていこうとすると、高槻に手を掴まれる。
「お茶を出し終わったら、書籍倉庫に居なさい。
本を読んで待っていて…読めるならね」
最後の意味深な言葉を理解できず
眉をひそめたのだが、チャイムが再度鳴ったので
ことりは慌てて玄関へと向かった。
すると出迎えようとしたことりの目の前で扉が乱暴に開き
気の強そうな美人がズカズカと入ってきた。