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呪いのしるしを、君の体に。
第9章 9
「ッ…先生…」
「ほら、早くしないと、せっかくのスープが冷めちゃうよ?」
たっぷりの唾液を絡ませて高槻がことりを襲う。
唇の交わる音が周りに聞こえないか心配なことりをよそに
高槻は親指を太ももの付け根に食い込ませてくる。
「先生…やだ…」
「君に拒否権があると思ったら大間違いだよ」
恐ろしいほどに美しい顔がそこにあった。
ことりの唇を見つめ、そして瞳を見つめる。
完全にノックアウトだった。
言われた通り、高槻の舌を舐めとる。
ごくんと飲み込んだ自分以外の唾液は、高槻のものだからか
異様に甘美なものに感じられた。
「なんて顔をするんだいことり君。
これじゃ、止められなくなってしまいそうだよ」
舌が触れ合うだけで、電撃が身体中を走り回るかのようだった。
加えて太ももへの刺激は、まるで時限爆弾のようだった。
「今度から、君に唾液をあげるから、僕の味をしっかり覚えるんだよ?
これは、命令だからね」
ことりの不安そうな顔をみて、高槻はそっと額にキスを落とした。
食べよう、と芸能人顔負けの美しい笑顔でにっこりされると
ことりは頭が働かなくなってしまって、黙ってスープに口をつけた。
しばらくすると、前菜の盛り合わせが出てきて
そのビジュアルにことりが女子大生らしく感激した。
写真を撮ろうと頑張っている姿は
高槻には微笑ましく映った。
『僕そっちのけで料理の写真とるなんてね』
ちやほやされすぎることに嫌気がさしていた高槻にとって
何でもない扱いをされることはそれ自体が珍しくて新鮮だった。
そして、ことりのウブな反応は、高槻の欲求を昂ぶらせた。
『もっと、染めてしまいたい。
僕しか、考えられなくさせてしまったら…』
そんなことを考えながら、つかの間のブランチの時間は過ぎた。