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呪いのしるしを、君の体に。
第9章 9

「ことり君、まだ紹介していなかったね。僕の担当の金城君だよ」
「はじめまして、水島ことりです…あれ?」


マジマジと近くで見て、見覚えがあることを思い出す。
そのことりに、金城はしばらく沈黙した後に「ああ!」と驚いた顔をした。


「先生が、困っている子助けたときの!
いや、まさかハウスキーパーになったとは知らなかったな」
「その節はお世話になりました」


ことりは金城の人懐っこい爽やかな笑みに好感を持った。
コロコロと変わる表情も、なんとも分かりやすい。


「そういえば、前のハウスキーパーの方が辞めちゃったって言って、先生困っていたんだよね。
君ならしっかり者っぽそうだし、家事めっちゃできそうだよね。
さっきもエプロンつけたまま歩いていたし」


見られていたことにことりは一瞬気まずくなって苦笑いをした。
すると、金城はポケットから名刺を取り出してことりに渡す。


「改めまして、金城龍弥です」


爽やかな好青年だった。高槻とは違って、運動部でモテそうな爽やかさがあるような感じだった。
高身長な高槻に負けないくらいの身長に、丁寧で人懐っこい笑みが印象的だった。


「あの、私名刺は持っていないんですが、ありがたく頂戴しますね」
「龍弥なんて名前はいかついけど、若手担当の中では高感度ナンバーワンの優男だよね」
「はは、照れるな、先生にそう言われると」


照れる姿でさえ嫌味がない爽やかっぷりに、ことりは感心した。
それに比べて高槻の爽やかさは表だけだなと心底思った。


「あ、掛けてください。今お茶菓子用意しますね。
暑いので、水菓子がいいですか?
金城さん、甘いもの食べられますか?」
「お気遣いなく、あ、でも甘いもの好きです」


ことりはにっこり笑うと、キッチンへと向かった。
2人の声が後ろから聞こえてきて、楽しそうな姿に安心した。
先日訪れた厄介な客人とは違うことに、ことり自身が1番ホッとしていた。
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