この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
呪いのしるしを、君の体に。
第9章 9
「ことり君、まだ紹介していなかったね。僕の担当の金城君だよ」
「はじめまして、水島ことりです…あれ?」
マジマジと近くで見て、見覚えがあることを思い出す。
そのことりに、金城はしばらく沈黙した後に「ああ!」と驚いた顔をした。
「先生が、困っている子助けたときの!
いや、まさかハウスキーパーになったとは知らなかったな」
「その節はお世話になりました」
ことりは金城の人懐っこい爽やかな笑みに好感を持った。
コロコロと変わる表情も、なんとも分かりやすい。
「そういえば、前のハウスキーパーの方が辞めちゃったって言って、先生困っていたんだよね。
君ならしっかり者っぽそうだし、家事めっちゃできそうだよね。
さっきもエプロンつけたまま歩いていたし」
見られていたことにことりは一瞬気まずくなって苦笑いをした。
すると、金城はポケットから名刺を取り出してことりに渡す。
「改めまして、金城龍弥です」
爽やかな好青年だった。高槻とは違って、運動部でモテそうな爽やかさがあるような感じだった。
高身長な高槻に負けないくらいの身長に、丁寧で人懐っこい笑みが印象的だった。
「あの、私名刺は持っていないんですが、ありがたく頂戴しますね」
「龍弥なんて名前はいかついけど、若手担当の中では高感度ナンバーワンの優男だよね」
「はは、照れるな、先生にそう言われると」
照れる姿でさえ嫌味がない爽やかっぷりに、ことりは感心した。
それに比べて高槻の爽やかさは表だけだなと心底思った。
「あ、掛けてください。今お茶菓子用意しますね。
暑いので、水菓子がいいですか?
金城さん、甘いもの食べられますか?」
「お気遣いなく、あ、でも甘いもの好きです」
ことりはにっこり笑うと、キッチンへと向かった。
2人の声が後ろから聞こえてきて、楽しそうな姿に安心した。
先日訪れた厄介な客人とは違うことに、ことり自身が1番ホッとしていた。