この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
呪いのしるしを、君の体に。
第9章 9
「じゃあ、先生また再来週あたりに来ますね」
「はーい。待っていますよ」
そのやり取りを見て、ことりはあわてて冷蔵庫からペットボトルのお茶を取り出してくると、玄関前で金城に渡した。
「帰り、新幹線ですよね。召し上がって下さい」
「え、いいの? 今まで先生の所でこんなもらったことないよ」
「いいんです。先生は作品に脳の9割使っているので、いつも用意してあるのに渡し忘れるんです」
そのことりの清々しいほどのはっきりした物言いにまたもや金城が大爆笑し、高槻がことりの口を後ろから手で塞いだ。見上げれば、困った顔をした高槻と目が合う。
「余計なこと言ってませんよ、私」
「それはそうだけどね」
そんな2人に大きく手を振って、やってきたタクシーに金城は乗り込んだ。
窓を開けると、「じゃあまた再来週に」と言って去っていく。
高槻とことりも手を振った。
金城を乗せたタクシーが見えなくなると、2人で玄関へと戻った。
「なんだか楽しい人でしたね、金城さん」
先に中に入ると、後ろから入ってきた高槻にぎゅっと抱きしめられた。
そのまま、高槻の顔がことりの肩に乗せられる。
耳元で、彼がポツリと呟いた。
「なに、ことり君のタイプなの?」
「ちっがいますよ! 何するんですか、離してください!」
人がいなくなった途端にこれですか!とことりが騒ぐと、高槻は一向にことりを解放するそぶりを見せず、そのまま首筋に吸い付いてきた。
「ちょ…やだ、先生っ!」
「妬けちゃうなあ、僕にはあんな笑顔見せないのに、金城君にはとびきり微笑んじゃって。
ああいう、爽やかな青年がことり君は好きなのかな、僕より」
「好きでもなんでもないですってば、だいいち、さっき会ったばかりじゃないですか!」
「僕以外の男の前で、愛想を振りまく君を見ていると、こう、どうもたまらなく独占欲が疼くんだよね」
君が誰のものか分からせてあげる。
そういうと、高槻の舌がことりの首筋を責めた。
がっちりと抱きしめながら、胸を揉みしだかれる。
逃げようにも動けず、やだ、と首を振ると、シャツを掴まれて肩があらわになった。