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第4章 4

「身体の相性が大切って学んだんでしょ？　だったら一度してみたらいいと思うんだけど？」
「ば、ばば馬鹿じゃないの!?」

仮にも付き合ってる相手にいう言葉ではない。
怒りも呆れも超越し、悲しくなってしまう。

「そりゃ俺だって嫌だよ？　けど迷うくらいなら試してみたらいいと思うから」

それはしてみれば俺以上の男はいないだろうという、余裕を感じさせる発言だった。
それが透けて見え、あやみの頭に血が上る。

「そうだね。そうする。ありがと!!」

嫌悪感を露にして鞄を掴むと立ち上がった。
その手首を素早く貝塚が掴む。

「ちょっとっ……離して」
「ひょっとして俺が嫉妬してないとか思ってる？」

その顔はいつもより苛立っているのが分かる険のあるものだった。
思わず心臓が鼓動を速める。

「さあ？　そんなこと私には分からないし、関係ありませんからっ……」

動揺した顔を見られたくなくてうつ向いたまま手を払い、そのまま立ち去った。
少しでも立ち止まれば流されてしまう悪癖が発露してしまいそうだったから。