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いつかは結婚できると思い込んでる私へ
第4章 4
入った喫茶店は大手チェーンのもので雰囲気は洒落ていないが、賑やかな雰囲気にいるとなんだかそわそわと受かれた気分になっていく。
カップに注がれたコーヒーからは無難な香りが立ち、会話を続けながらスティックに入った白糖を流し入れプラステックの棒で掻き回した。

「まあ、そんなに大規模なものではないけど、輸入品や丁寧な仕事をしてるところから仕入れて卸していけたらなって思っててね」

そう言いながら彼はスマートフォンを操作し、イタリアのヴェローナに拠点を構える鞄メーカーのホームページを見せてくれた。
そこに紹介されている革のバッグはどれも可愛らしくてお洒落だった。

「なんか、いいですね。そういうの……」

会社員として働いているといつの間にかそれが当たり前になってきてしまう。
あやみは将来自分で商売をするなんていうことは考えてもみなかった。
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