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いつかは結婚できると思い込んでる私へ
第4章 4
「綺麗だね……」

視線は暗い水面に浮かぶ船の灯りに向けたまま、海藤はテーブルの下であやみの手を覆うように握った。
主語がない言葉は自分にかかっているのか、目の前の景色に向けられたものなのか分からない。
もはや参考書の教えを二段飛ばしで関係を進める気持ちしかなかった。

手を握り返し頭部を少しだけ彼の肩に近付けると顎を優しく引き寄せられた。
落ち着いた大人の彼は無駄な言葉は挟まず、自然な動きで唇を重ねてすぐに離す。

それは性的な衝動など微塵も感じさせない、けれど官能的な口づけだった。

「っ……」

蕩けてしまった心は身体の力を奪い去る。
力なく海藤の肩に頭を乗せ、「ちょっと酔っちゃいました」と罪もないアルコールにその責任を全て擦り付けていた。
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