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いつかは結婚できると思い込んでる私へ
第4章 4
バーを出た二人は入るときよりも更に親密に寄り添っていた。

「もう……帰りますか?」

望んでいないことが丸わかりの口振りで問い掛ける。

「そうだなぁ……あやみちゃんが酔ってそうだから帰ろうか?」

さらりと告げられ、あやみは途端に寄りかかっていた身体を立て直した。

「そんなに酔ってないですよっ……」
「そうなんだ……」

隠し切れない笑いを浮かべた顔を見て、ようやく自分がからかわれていたのだと気付く。

「も、もうっ……意地悪なんですね……」
「ごめんごめん。冗談だよ……」

宥めるように肩を抱かれるとあやみは身を預けてしまう。
『雰囲気に流されてしまうから遊ばれてしまう』という項目は『いつかは結婚できると思っているあなたへ』の三十二ページに書かれていたし、彼女も読んで強く頷いていたのだが頭から消えていた。
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