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いつかは結婚できると思い込んでる私へ
第4章 4
次はいよいよ職業だ。
ここはあまりがっついて訊くと退かれる。彼女のバイブルにはそう記されてあった。
あくまに自然に切り出さなくてはならない。
どういう切り口で攻めればいいか迷っているうちに
「あやみさんはどんなお仕事なんですか?」
いとも簡単に海藤の方から訊ねられる。

「えっ……あっ、私ですか? 商社の営業事務です」
「へぇー。そうなんだ」
「か、海藤さんは?」
「俺? 俺は、まあ、アパレル関係の営業なんだけど」
「やっぱり! なんかお洒落だなーって思いました」
「そんないいもんじゃないよ。この不況で今は服も売れないし、その割に忙しくて、気づけばこの歳まで独身ってわけで」

おどけたように笑って肩を竦める姿も、知的な彼がすると絵になる。
しかも相手から結婚の単語が飛び出し、あやみはにやけそうな顔を必死に抑えた。

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