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第4章 4

このまま無視をしちゃおう……
そう思うが、他人に気を遣いすぎるのがあやみの悪い癖だ。
彼氏が出来たからもう逢えません。
そう書いたものの送信が出来なかった。
『海藤は果たして彼氏なのだろうか？』
そんな疑念が脳裏を掠める。

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「そりゃまだ彼氏じゃないでしょ？」

運ばれてきた食後のコーヒーを飲みながら貝塚は事も無げにそう言った。

しれっとした口振りに、あやみはイラっとした気持ちを隠そうともしない表情になってしまう。
結局貝塚の誘いに乗ってやって来てしまった自分に嫌気も射していた。

「彼氏じゃなくても運命は感じるしっ……」

この反論は自分の気持ちを貫きたいというだけではなく、貝塚に妬かせたいという気持ちも多少含まれていた。
彼氏っぽい人が出来たと言えばこの男も少しは焦るかもしれない。そんな屈折した希望もほんの僅かだがあやみの中には存在していた。