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第29章 私が許さない‼︎

（何なのあの女‼︎
湊のことちゃんと知らないくせに‼︎
勝手なことばかり言いやがって‼︎）


『日和。』


（外見だけ⁉︎
湊は外見も中身もいい男だっつーの‼︎
何様のつもりだよ‼︎
綺麗な顔してるからってムカつく‼︎）


『日和？』


「あ″ぁ″⁉︎」


『ｸｸｯ。
お前すっげぇブツブツ言ってるけど？
頭ん中で考えてること全部、口に出てるから。』


湊は私を見てお腹を抱えて笑いだした。


「笑うな‼︎
本当あの女ムカつく‼︎
もう一発殴っとけば良かった‼︎」


私のイライラとは反対に、湊はスッキリしたように笑っていた。


『日和。』


「何よ‼︎」


湊はドスドスと先を歩く私の腕を掴み、フワッと抱きしめると、おデコにキスを落としてくる。


そして私の視線に合わせて屈むと、柔らかい笑みを浮かべて言葉を紡いだ。


『お前が俺の彼女で嬉しい。』


湊の甘い言葉に、煮えくり返っていた腹の底が、すーっと温もりのあるものに変わっていった。