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知代の性活
第7章 十月 愛をもって脱がされる
 利き手の右手は、知代の柔らかい手のひらに抱かれ、指を口で愛撫されている。
 左手でズボンの前を開ける。
 利き手でない左手は、和也自身の興奮も相まって思うように動いてくれず、和也を焦らさせる。

 見かねて知代が手伝うと、トランクスが下げられた途端、弾かれたように飛び出て、知代の顔を打った。
 
「知代ちゃん、お願い…」

 和也の上ずった声。
 知代は、きっと大丈夫、と心で言い、生まれて初めて、自らそこに顔を近づけた。

 目を閉じて、手で握る。
 熱くて硬いそれは、知代のトラウマを呼び起こさせる。

 でも、あの時とは違う。
 これは好きな人のもの。悦んでもらいたい。

 目を閉じたまま舌を伸ばす。
 舌先に、熱を持ったものが触れた。

 萎えそうになる気持ちを奮い立たせて、少し膨らんだ先端を口に含む。

 呻き声のような、和也の息が聞こえる。

 気持ちいいのかな、これでいいのかな。
 知代は迷いながらも、さらに深く口に咥えようとして、そこで止まってしまった。

 初めてそこに味わう口の中の感触に夢中になっていた和也も、知代の異変に気付いた。

 きつく閉じた目から、ぽろぽろと涙がこぼれている。

「…知代ちゃん?」
「…ごめん、やっぱり…出来ない」

 顔を離して、か細い声で知代はもう一度「ごめん」と言った。



 結局、知代は手で和也を射精に導いた。
 見ているだけでも痛いくらいに大きくなった和也のものを見かねて、知代が手でしごいて射精させた。

 知代はもう、男の生理も心理も知っている。
 ここまで来てやめられてしまっては、和也が苦しいだろうと思い、せめて手で、と思った。

 和也は申し訳なさそうにしていたが、若い体から生まれる性欲は抑えきれなかった。
 射精をしてようやく、冷静さを取り戻した。

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